著者の存在は、小生にとって大変影響力の大きなものでした。
出会いは、ゴルフを始めて数年、丁度80台が出始めた頃ですから、1991年だったかと存じます。
ゴルフ熱が上昇するに伴い、「3つの愉しみ方」を教えていただいたのも、著書からだったかもしれません。
するゴルフ
見るゴルフ
読むゴルフ
中でも、「読むゴルフ」については、別格本山級で、当に読み耽っていたという表現が適格でしょう。
その著者が、2000年1月に鬼籍に入られ、本日ご紹介する最後の単行本が世に出た2004年辺りが、境だったでしょうか。
ゴルフに対する熱も急速に冷め、その数年後、ゴルフ用具一式を処分し、ゴルフ断ちすることで、今に至っております。
その単行本とは、こちらの逸品。
残念ながら、著者の夏坂健さんとは、直接お会いしたことはありません。
そういう意味では、一読者の勝手な片想いだったのでしょう。
それでも、その恋心が高じて、出版される度に、単行本と向き合っていました。
夏坂健さんに、「読むゴルフ」の深遠な世界に誘われて、彼の著書のみならず、球聖ボビー・ジョーンズの名著『ダウン・ザ・フェアウェイ』を始めとする伝記モノから、ゴルフの歴史書・哲学書、摂津茂和さんの作品や、中部銀次郎さんの著書、洒脱な随筆モノ等、今でも200冊以上、実家の書棚に蔵書として残っています。
ちなみに、技術関連書は数冊ほどしかありませんが・・・苦笑
今回ご紹介した「昭和天皇のパター」には、遺作ということで、巻末に生前著者と交流のあった著名人(文化人)からの追悼文が掲載されています。
その中から、五木寛之さんの名文を少しだけご紹介させてください。
夏坂さんの本は、キャリアのあるゴルファーはもちろんだが、これからゴルフを始めようと思っている人たちにこそ、ぜひおすすめしたい。
夏坂さんのゴルフ関係書は、ゴルフをやる日本人が一度は読まねばならぬ必読書だと思う。
その追悼文ですが、五木さん含め、生前ご縁が深かったと思われる9名の方々から寄せられています。
しかしながら、児玉清さん、永井淳さん、床ヌブリさんも、夏坂健さんを追ってご逝去されてしまいましたね・・・
永井淳さんの追悼文によると、夏坂健さんですら、若い頃は、腕は良いがややきびしさに欠けるありふれたゴルファーだったようです。
俄かには信じられませんが、永井淳さんの見立てによれば、その後、夏坂健さんが「ゴルフの哲人・賢者」として成熟されたのは、長い年月にゴルフがもたらした一種の化学作用とのこと。
そして、遺作のラストページには、生前の夏坂さんの想いが綴られています。
「あの男に死なれて、何だか人生が寂しくなったよ」
のちにトム・モリス翁は述懐したが、これほど私を強くとらえた言葉もない(あの男とは、プロの始祖アラン・ロバートソンを指しています)。泡沫の世に別れを告げたあと、友人からこのように言われる人間に、私はなりたい。
久しぶりに書縁を振り返ることができましたので、実家の書棚に眠っている夏坂健さんのエスプリの効いた著作の数々を、ゆっくり読み返してみようかしら。
ではでは。
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