今から50年前の本日、一冊のベストセラーが刊行されました
それが、本日ご紹介する名著
『日本列島改造論』 田中角栄 著 日刊工業新聞社 ☆画像はAmazonより拝借
列島改造論と耳にすると、爆風スランプの『東京アンギラス』を想い浮かべてしまいますが・・・分かる方は苦笑いしてください
そもそも、この「日本列島改造論」は、出版(1972年6月20日)直前の1972年6月11日、ポスト佐藤の座を見据え、当時通商産業大臣(現在の経済産業大臣)だった田中角栄さんが、自身の政策をまとめた政策綱領でした
その内容が支持されたことが要因か否かはわかりませんが、角栄さんは前首相佐藤栄作を後ろ盾とする福田赳夫氏を抑え、自由民主党総裁に就任
その後の快刀乱麻の活躍は、日本の政治史に遺る偉業だと感じています
日本列島改造論に基づく数々の国内政策はもちろん、日中国交正常化、ソ連訪問という煌びやかな外交への取り組み
その外交政策がアメリカさんのお怒りを買って、ロッキード事件を仕掛けられてしまったという見解は間違っていないように存じます
そして、今回初めて50年前の著書と向き合ってみて湧き上がったのは、金権政治の批判は受け止めても、これだけ日本の将来のことを憂いて、明るい未来のために考え抜き実行しようとした政治家は、この半世紀に限れば他にいないのではないかという想いです
そして、その杞憂が、今時限爆弾のように現実のものとして我々の目の前で弾けつつある、そんな印象です
半世紀後を予言するともいえるその内容
・農村は若者が激減して高齢化し、成長のエネルギーを失う
・明治百年をフシ目にして都市集中はデメリットへ変わった
・熟練工不足、ブルーカラーを避けホワイトカラーに流れる
地方の過疎化は加速するばかり、首都圏一極集中の弊害は電力不足を招き、現場労働者は外国人ばかり
そのような状況も、日本の国力の衰えと共に、維持が難しくなっていると想われます
(未だに技能実習生制度が継続されない国って何なんでしょうか・・・)
その他にも、こんな政策提言が目白押し
・道州制とも想える新自治体構想
・「平和」と「福祉」実現の進路
・データ通信・情報ネットワーク
・インダストリーキャピタル構想
・無公害工業基地と地方都市整備
ここまでトータルに日本のことを考えている政治家は、今どれくらいいるのでしょうか
そして、一読後、藤原直哉さんの『富貴のこころ』との共通性を覚えました
☆コチラは昨年のお正月に紹介していましたね
https://books.view.cafe/business/761/
しかしながら、今回の『日本列島改造論』、中古本市場では高止まりしているようで、実は小生も愛知県図書館の書庫に保管されたものを請求して、借りることができました
お値打ち価格で購入できるなら是非とも買いですし、それが難しいなら地元の図書館で探して借りるてでも読んだ方がいい、そんな逸品です
最後に角栄さんの想いが込められたメッセージを転載しておきます
・人間と太陽と緑が主人公となる”人間復権”の新しい時代を迎える
・日本中の家庭に団らんの笑い声があふれ、年寄りがやすらぎの余生を送り、青年の目には希望の光が輝く社会をつくりあげたい
・だれかが新しい国づくりをすすめなければならない
今回もお役に立てれば幸いです
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